本日の為替予想「金融政策に与える影響と地政学的リスクの考察」

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昨晩のNY市場の動き

昨晩のニューヨーク市場の動向を要約すると、ドル/円が大幅に反発し、148円台に乗り、最高148円20銭まで上昇しました。

これは、米国の2月の消費者物価指数(CPI)が市場予想をわずかに上回る結果となったものの、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げ姿勢を変更するには至らないとの見方が主因です。

ユーロ/ドルは若干の売り圧力を受けましたが、1.09台を維持しています。株式市場では、3大指数がそろって大幅に上昇し、特に大型ハイテク株への買いが目立ちました。

S&P 500は57ポイント上がり、新たな最高値を更新しました。 債券市場では値下がりが続き、長期金利は4.15%台に上昇しました。金は9日ぶりに価格が下落し、原油は小幅ながら4日連続の下落を記録しました。

その他の主要な指標として、2月の消費者物価指数は前月比で0.4%の上昇を見せ、2月の財政収支はマイナス296.3億ドルでした。

通貨ペアごとの動きを見てみると、ドル/円は147.08から148.20の範囲で取引され、ユーロ/ドルは1.0900から1.0943、ユーロ/円は160.93から161.57で取引されました。

ニューヨークダウは235.83ポイント上昇し、39,005.49ドルを記録。ゴールドは22.50ドル下がり、2,166.10ドル、WTI原油は0.37ドル下落し、77.56ドルとなりました。米国の10年国債利回りは0.053ポイント上昇し、4.151%でした。

本日の注目すべき経済指標のイベント

本日の経済指標発表では、ヨーロッパ及びイギリスから特に注目すべきデータが予定されています。具体的には以下の通りです。

欧州ユーロ圏 1月鉱工業生産 ユーロ圏の鉱工業生産の変動は、欧州の経済活動の強さを示す重要な指標の一つです。生産活動の増減は、製造業の健全性と経済全体の成長傾向を反映します。投資家や市場参加者はこのデータを通じて、ユーロ圏経済の現状と将来の展望を評価します。

英国 1月鉱工業生産 イギリスの鉱工業生産の統計も、英国内の製造業をはじめとした産業活動の動向を理解する上で欠かせない指標です。英国の経済成長率に直接影響を及ぼすため、ポンドの価値や株価にも影響を与える可能性があります。

英国 1月貿易収支 貿易収支は、イギリスが他国と行う商品及びサービスの輸出入の差を表します。輸出が輸入を上回れば貿易黒字、その逆の場合は貿易赤字となります。この指標は、英国の国際競争力や通貨ポンドに対する外部からの需要を示すため、経済の健全性を判断する上で重要です。

これらの経済指標によって、今後の金融政策の方向性や市場のトレンドに影響を及ぼす可能性があるため、投資家は発表を待ち構え、戦略の見直しを行うことが予想されます。

本日の考察

2月の米国消費者物価指数(CPI)の発表結果は、総合CPIが前月比0.4%(1月は0.3%)と市場予想に一致し、前年同月比では3.2%と、市場予想の3.1%を上回る結果でした。

特に注目されるコアCPI(食品及びエネルギーを除くCPI)では、前月比で0.4%、前年同月比で3.8%と、いずれも市場予想を上回っています。

この内訳を見ると、総合CPIの上昇分の60%以上が住居費とガソリンによるものであり、コアCPIを重視するFRB(連邦準備制度理事会)にとって、今回の結果に対する懸念は少ないようです。

これらのデータは予想をわずかに上回るものでしたが、金融政策に即座の変更を要求するほどではないと解釈され、市場には安心感が広がっています。 株式市場では3指数が大きく買われ、S&P500指数が再び最高値を更新しました。

また、米金利の上昇を受けて、ドル円相場では148円台への回復が見られ、148円20銭までドルが買い戻されました。

ニューヨーク市場で先週末にはドルが146円48銭まで売られ、その後若干の反発を見せたものの、欧州市場では再び同水準まで売られる動きがありました。 しかし、最終的には146円台半ばが抜け切れずに反発する形となりました。

FRBの利下げについては、パウエル議長が議会証言で「それほど遠くない」と述べたものの、市場から想定される利下げ回数は減少する可能性があると指摘されています。

これが影響して、ブルームバーグなどからは、「今回のCPI発表は、FRBが政策をもうしばらく据え置くための根拠と見なされるだろう」とのコメントが出ています。

一方、ウクライナ情勢やイスラエル情勢といった地政学的なリスクも市場の注目を集めており、特に米国からウクライナへの追加軍事支援や、イスラエル軍とヒズボラとの間のミサイル攻撃が報告されています。

これらの事象は、市場におけるリスクセンチメントに影響を与える可能性があります。 ドル円相場については、145円をテストせずに148円台まで反発しましたが、今後のFRBや日銀の金融政策会合や、政策当局者の発言によってさらなる動きが期待されます。

本日の取引範囲としては、147円から148円50銭程度を予想しています。

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